コメカイ道 〜 武奈ヶ岳(1214.4m) 〜 正面谷
コース概念図 コース断面図
↑「地図」上の○印をクリックするとその位置の画像を表示します。
2006年11月18日 (土曜日)晴れ後曇り メンバー:単独
歩行距離 15.3q/歩行時間 5時間34分 (休憩時間 0時間25分) 所要時間 5時間59分
09:02 京阪電車・出町柳駅を7時45分に発車する朽木学校前行き京都バスに乗り、鯖街道を1時間少しバスに揺られ朽木栃生で降りる
天気予報では前線の接近に伴い天候は下り坂とのことだが今はまだ頭上に青空が広がっている
出町柳を出る時にはほぼ満員だったバスも坊村で殆どの乗客を吐き出し、残りの客は僅か6人の貸し切り状態で快適なドライブを楽しむ
バスの中で20℃を指していた温度計も下車すると忽ち8℃に代わり、4月には若緑色だったイチョウも見事な黄色の装いに着替えて見送ってくれる すぐ西側に横たわる白倉中岳の大杉へももう一度訪ねてみたいと思うのだが、この日は下からの挨拶だけで勘弁して貰うこととして今はバス道を少し戻る 09:04 国道367号を80m程戻る事になるが、この道は炎天下の7月に白倉岳から下山した後バスの時間待ちを嫌って延々と平までの12qを歩いたことが想い出される 09:06 やがて左手にアスファルト舗装路が分かれるので、ここで道端に付けられた道標に従い“コメカイ道”へ左折する

※この道は、その昔“コメカイ道”として京と湖国を多くの人が往来した山越えの重要な道だったと案内書されている 09:10 樹林の中に続く3m幅の道をノンビリと辿り100m程で右手に地中を通る用水路を見やる
舗装路が大きく折り返すように左へ曲がると右手に分岐が現れるので、道角の道標に従ってコンクリート舗装された林道へ鋭角的に右折する 09:12 林道は間もなく左へ曲がるが、ここからは真っ直ぐ竹林沿いに伸びる50p幅の細い山道をハタケ谷に沿って辿る 09:14 右手(=谷側)には鬱蒼とした植林が広がるが左側は小広く耕作地のように開けた片隅の道を辿ると 09:16 スタートして15分、乾燥した道端にコケが目に付き出すと左手にこぢんまりとした高島市営浄水場が姿を現す 09:18 ここで植林帯に入ると道は左へ直角に折れる
樹間から空を見上げると青空はいつの間にか姿を消し薄雲に覆われて来たようで朝の天気予報が頭を掠める
デジカメを構えているとすぐ後から来られた単独行の若い男性が追い抜いてゆかれる 09:22 道はホトラ山の西に伸びる尾根をジグザグに登る急坂に変わり、一気に高度を稼ぎ出すと樹林も杉から桧に変わる 09:31 九十九折れの道は尾根筋から一旦右へ捲いて谷筋に出て、改めて左の尾根筋に戻ると浄水場奥の急坂に取り付き15分で尾根尻に到着する
先程追い抜いてゆかれた男性が上着を脱いでおられるので道を譲って戴き道標に従って右への尾根筋を辿る 09:38 勾配は一旦少し緩やかになるが再び尾根筋をジグザグに伝う急坂に迎えられる

このあたりまで登ってくると今までの植林帯は姿を消して一面の自然林に代わる 09:45 スタートして40分少々で尾根道が少し平坦になってくると、地蔵峠への道との分岐に登り着く
ここには“左:地蔵峠(2.6km)/右:ツルベ岳(3.2km)”と書かれた道標が建てられているので道標の案内通り右へ登る尾根道に足を進める 09:52 やがて道は平坦な捲き道になり明るい自然林の中をノンビリ辿る事になるが、時々倒木が行く手を遮るので足下にも時々気を付けなければならずシットリとしたお気に入りの雰囲気を楽しんでばかりはいられない 09:55 勿論足下ばかり注意していると倒木のアーチにも歓迎されるのでたまには頭上や前方にも目を配る事になる 09:56 周囲を取り巻く木々の葉っぱもこのあたりまで来ると赤や黄色に彩られて嫌でも秋の深まりを感じさせられる 10:01 目の前が開けて来ると手元の地図に732mと書かれたピークの南側を捲いて通る事になり、植生も広葉樹が少なくなって針葉樹が目立つようになってくる 10:05 地蔵峠道出合から20分、捲き道から鞍部に出るとササ峠道出合に着く
ここにも「左:ササ峠/右:ツルベ岳」と書かれた道標が整備されているので、ここで“コメカイ道”から別れて案内通り右への尾根道を辿る事になる
道は踏み跡程度の急な尾根道なので幹に付けられたテープを見失わないように目で拾いながら樹間を進む 10:23 - 10:26 樹間の踏み跡を忠実に辿ると20分程で地図上の923m地点に登り着く
イクワタ峠の手前100m程の展望の開けた場所では、周囲が背丈程のササに覆われているものの視界を遮る樹木がないので素晴らしい眺望を少し楽しませてくれる
右手正面にはツルベ岳と武奈ヶ岳が遠慮気味に顔を覗かせている

ここで前後して歩いてこられた単独行の男性が一足先に釣瓶岳へ向かわれるのを見送る 左手(=北)方向にはドッシリと横たわる蛇谷ヶ峰と北東〜東方向には名前の通り真っ白な雪を被った白山や雲海から顔を覗かせている金糞岳までのパノラマが広がっている 10:27 南東方向へ100mも進むと蛇谷ヶ峰〜武奈ヶ岳を結ぶ従走路に合流する
ここがイクワタ峠で、目の前に建てられた道標越しにリトル比良と山麓の“ガリバー青少年旅行村”が望む事が出来、目を北に転じると先程よりも見事なパノラマが目を楽しませてくれるが、まだまだ行程の3/4が残っているので後ろ髪を曳かれながら先に進む事とする 10:28 峠から南方向に端正な山容を見せる釣瓶岳を見上げながら緩やかなササ尾根の斜面に足を進める 10:32 ササ尾根の左側(=東側)は植林された若い杉に視界を遮られるので少しの間眺望を諦めて尾根の急斜面を登る事になる 10:45 展望の開けた明るい釣瓶岳北稜は常に蛇谷ヶ峰の見送りを受けながら一歩一歩高度を上げて行く 10:58 - 11:02 "イクワタ峠を後にして30分、北稜を登り詰めて樹木であまり視界の利かないツルベ岳(1,098m)山頂に着くが、山頂にはこのあと蛇谷ヶ峰まで縦走されるという単独行の青年が休んでおられるので挨拶を交わすが、予定外に空腹を感じるので朝食が車中で食べたサンドイッチだけだった事を思い出す
とりあえず昼食用の握り飯を1つ頬張り、山頂の杉に付けられた山名板で“奥比良の最高峰”であることを再認識した後、呼吸を少し整えて次のポイントである細川越に足を進める 11:06 いきなり露岩の混じった急な下りが始まるので浮き石で転倒したり捻挫しないよう足下に充分注意しながら足を運ぶ 11:10 前方にはこれから訪れる細川越を挟んで、最高峰の武奈ヶ岳が端正な風格で周囲を見下ろしている

北稜から見上げる武奈ヶ岳からは以外なほど風格を感じないが直接山頂の人影や賑やかな情景が目に入らないので私自身、一番好きな武奈ヶ岳の表情だ 11:13 一旦鞍部まで降りたって一度小さく登り返すとやがて高山を思わせるように地表をはう草木に覆われた見晴らしの良い高台に着く
前方には意外な程高度感のない武奈ヶ岳に寄り添うようにコヤマノ岳が姿を見せてくれる 11:18 釣瓶岳から15分程で細川越に到着する
一見シッカリと付けられた道標だが、広谷・八淵ノ滝方面への標識が外れたまま放置されている
実は4月に立ち寄った時にも既に外れて同じ状態だったのでその後は小康状態を保っている事になる

前線の接近で少し気になっていた天候も大きく崩れることはなさそうで、今でも武奈ヶ岳がクッキリ望めるので山頂からの展望もある程度期待出来るのかな 11:23 人通りもないので、釣瓶岳で出逢って以後どなたとも出逢うことなく上機嫌で最高峰に辿り着けそうだ
武奈ヶ岳北稜を一歩ずつ刻んで高度を上げて伝うと徐々に低くなって行く釣瓶岳が静かに後から見送ってくれている 11:47 細川越から30分で北稜の肩に登り着くが、ここに渡辺清美君 北穂高に眠ると掘られたケルンが立てられている
この場所には全く無意味なものなので、立てられた方の気持ちは分からなくはないが国定公園の一角を私物化することは止めて欲しいものだ 11:48 今まで静かな山歩きを楽しんできたがポールの立てられた山頂が見え出すと俄に周囲の空気が騒がしく感じる
50m程先に見える山頂では20人近いハイカーが思い思いに昼食タイムを楽しんでいらっしゃるようなので、私も少し離れた処に陣取って昼食を摂ることとする 11:50 - 12:15 武奈ヶ岳(1214.4m)山頂からは青空が見えないので気温は4℃と肌寒さを感じるが、風もなく視界は良好で滅多にお目にかかれない程済みきった空気は遙か遠くの山並みも望見することが出来る 南方向にはユッタリとした山容を見せている蓬莱山・打見山の連なりが、そして背後には静かな水を湛える琵琶湖と遙か遠方に横たわる大峰の連なりまで雄大なパノラマが広がって見える 三等三角点(点名:武奈岳 標高:1214.42m)が打たれ、360度の眺望を楽しめる山頂では食後の一時を多くのハイカーがユックリと経過する時間を共有されている 12:16 食事休憩も済み、展望も一通り楽しんだので身体が冷えない内に、また次々と山頂にハイカーが増えてきたので山頂を辞する事とする
まだ時間も早いようなので久しぶりに武奈西南稜の感触も楽しんで見ることとする 12:19 イブルキのコバ・コヤマノ岳への分岐を左に分けて、西へ回り込む西南稜を緩やかに下るが、ロープウェイの営業が終了したことで今では新たな武奈ヶ岳への銀座コースに昇格した感のあるこのコースは次々に山頂目指すハイカーで賑わい、昔の趣ある情緒がすっかり失われてしまった感がある 12:24 大らかにくねりながら伸びるササに覆われた高原風の稜線をノンビリ下って行くと、真っ赤に染まった葉を纏った背丈程の灌木が見送ってくれる 12:27 振り返って見ると大きな竜のように稜線をくねらせた武奈ヶ岳が、北稜から見上げた姿とは大きく異なって優雅でなだらかなスロープを見せてくれる 12:30 やがて少し急なダケた坂を下ると、行く手左方向に口ノ深谷を挟んでこれから辿るシャクシコバの頭と中峠の中間に堂満岳がさりげなく顔を覗かせている 12:33 ササ尾根の道から細川越を思わせる若いブナなどの雑木を縫うように続くと少し視界の利きにくい道に代わる 12:37 やがて御殿山との鞍部に着くと左への分岐と立派な道標の打たれたワサビ峠に到着する
折良く左の谷道から二人のパーティーが中谷を経由して登ってこられたようなので
「コースの状況は如何でしたか?」とお尋ねすると
「坊村〜小川新道〜中峠を通って来たけど問題箇所はありませんでしたよ」とのお答えを戴き

お礼を述べて左に下る道に足を進める事にする 12:38 口ノ深谷への降り口は人一人が辛うじて通れるくらいの細い溝状を呈しているが、取りあえず私は通り抜けることが出来そうなので久しぶりのルートを楽しみながら下り始める 12:39 すぐ階段状の岩場に出るが右手に付けられた踏み跡から左へ捲いて降りると 12:40 トラロープが付けられたやや足場の悪い露岩の散らばる明るい谷筋を下る事になる 12:42 久しぶりに訪れたこのコースだが、大きく荒れることもなく昔の面影を今に残してくれているようで嬉しい
今日2組目のハイカーが登ってこられるので挨拶を兼ねて辿ってこられたルートをお尋ねしたところ、先程のパーティーと同じく往路は坊村〜小川新道〜中峠〜ワサビ峠を辿られるとの事で、因みに
「このルートは静かな尾根歩きと谷歩きができ、御殿山コースのような晴れやかさがないのがいい」
との事で、無意識に「ウン、ウン」と頷いている自分に気がつく 12:45 ワサビ峠から10分足らずで口ノ深谷に下り着く
コースはここで流れを渡って向い側に立ち塞がるシャクシコバの頭の北側鞍部にある中峠まで登り返すことになり 12:46 沢を渡ると一旦武奈ヶ岳に向かって左岸沿いに北へ回り込む 13:03 大きく回り込んだ後は再び南に突き上げるシャクシコバの頭に向かって山肌を緩やかに捲き上がると15分で中峠に着く
ここでも二人連れのパーティーが小川新道を坊村へ向かわれるようで、ワサビ峠から30分程のこのルートで既に3組ものパーティーと出逢うとは予想もしていなかったが、ロープウェイの運行が停止されたことでよく歩かれるルートも徐々に変遷してゆくようだ 13:08 峠からはコースも少し荒れて来る
右下がりの傾斜地を緩やかに下るが右下が大きく崩落している箇所も通過するので充分な注意を足下に払いながら静かな谷筋を辿る 13:09 やがて右手の木の間越しに富士山形をした形の良い堂満岳が風格のある山容で出迎えてくれる 13:10 道端から迎えてくれる背の低い雑木も深まる秋に併せて少しずつ衣装の色を変えながら、すぐそこまで来ている冬に照準を合わせ始めているようだ 13:16 中峠から10分程で谷筋を流れるせせらぎに合流するが、この谷がヨキトウゲ谷でここからは木の幹に付けられた小さな道標に従って沢の右岸沿いを進む事になる 13:22 まず最初に今下ってきた支谷の右岸を下り、やがて左岸・右岸へ飛び石伝いで渡り返すが明確なルートは付けられていないので、ここは久しぶりのルートファインディングを楽しみながら沢沿いをノンビリと、しかし足下に気を付けて下る事になる 13:27 やがて紅葉したカエデが常緑樹に混じって自分は自然林であると主張しているように見える 13:28 谷に合流して10分、大きく育った植林が目立ち始め周囲が3mもありそうな大杉が辺りを圧倒している地点に着くとハッキリとした道標が現れ、今歩いてきたルートが正しい道である事を教えてくれる 13:31 さらにトラロープも張られた滑り易い岩を伝いながら下流を目指すと 13:33 5分程で沢から少し離れて大きな岩が目の前に現れるので左側からやり過ごすと 13:34 丸木組でしっかりと手間を掛けて造られた立派な橋が現れるので、ありがたくこの橋を渡らせて戴く 13:36 ヨキトウゲ谷左岸を伝うと程なく奥ノ深谷に出合うので、右岸を少し遡行すると大橋への分岐を右に分けて 13:37 更に右岸を上流に向かうと程なく 13:38 右手に丸太組の木橋が現れるので、この橋を左岸に渡り 13:42 山肌を右手に捲きながら緩やかに高度を上げて行くと前方が大きく開けて 13:44 やがて著しく風化の進んだ金糞峠に到着する

峠には
正面谷の下降を自粛するように
とのお願いが書かれた表示板が建てられているが、ほとんどのハイカーにとっては無意味な自粛要請のようだ 峠からは眼下に広がるモノトーンの風景に暫く見とれた後、この注意書きに逆らって自己責任で正面谷を下る事とする 13:43 久しぶりの正面谷は昔の面影を探しながら下ることとなるが、ほぼ蒸発してしまった記憶では想い出すことも困難なので面影探しを諦めて、V字に抉れて荒れてしまった谷芯を注意しながら下る事になるが 13:54 10分程で右足下がりの傾斜地を横切るように伝うと 14:01 すっかりスケールの小さくなった青ガレに着くので右端に沿って付けられた踏跡を辿ると 14:03 2〜3分で青ガレを通り抜け、小さな沢に架けられた木橋を右岸に渡って 14:11 雑木が造るアーチと地表に飛び出した露岩の中を左足下がりの傾斜地が迎えてくれる 14:19 やがて左手に隠れ滝への分岐を見やると青ガレから10分程でカモシカ台へ続くダケ道分岐のある大山口を通り過ぎると 14:20 とても山道とは思えない程広々とすっかり整備されてしまった緑地公園に飛び出す 14:27 園地の外れで一際鮮やかな色付きを見せて落葉前の彩りを見せてくれる樹木に目を引かれると、道も広い舗装道路に変わる 14:33 ノンビリと5分程足を進めるとイン谷出合に立つ出合小屋の見送りを左手から受けて、舗装道路から出合橋を渡って右への伝うと 14:53 間もなくサクラのコバに着くので左折して湖西道路を横切る
すぐ農場跡を過ぎて天満宮(樹下神社)の北横から国道161号に突き当たり、50m程南へ辿ってすぐ東へ延びる舗装道路を一直線に比良駅目指す

振り返ると尖った頂を見せる堂満岳が堂々とした山容で見送ってくれる 15:01 10分近くで今回のゴールJR比良駅に到着して少しベンチで休んでいると、15時23分発の電車が滑り込んで来たので座席を確保して大満足で帰宅の途に着く ページの先頭へ