柏原新道 〜 針ノ木岳(2820.6m) 〜 針ノ木谷
コース概念図 コース断面図
↑「地図」上の○印をクリックするとその位置の画像を表示します。
2005年09月25〜26日 (日〜月曜日)曇り後小雨/快晴 メンバー:3名
歩行距離 23.6q/歩行時間 14時間13分 (休憩時間 3時間47分) 所要時間 18時間00分
《レポート画像》
↓クリックで画像が拡大します。
到着 - 出発 《ルートポイントのあらまし》

07:12
《第1日目》
夜半から降りつづいた雨も出発時には止んでいるが、舗装された道はまだ濡れている
前日、アカさんの好意により扇沢ロッジまでマイカーで移動したので、今回はロッジからどんよりとガスのかかった重い曇り空の下をスタートすることになる
07:16 見上げる山並みも厚いガスに覆われて見ることが出来ないが、道路を挟む木々の明るい緑が「ひょっとすると、まだ雨が・・・」との不安を少しの間忘れさせてくれる
07:19 やがて舗装された道はスノーシェルターに覆われたバス道に合流するので右折して
07:26 昨年の鹿島槍ヶ岳への往路と同じように大町方向に足を向ける
数分で扇沢橋を渡るが依然として周囲は乳白色のガスに覆われているので、当分の間展望は諦めることとする
07:29 橋を渡ったところが扇沢出合で、すぐ左に柏原新道への黄色の道標が手招きしてくれる
07:29 左へ30mも入ると爺ヶ岳登山口の標識を左に見やって先に進む

※この位置で既に標高は1350mと案内されている

07:36 登山口から20m程伝うと右手に石組の急な階段が現れるのでここから柏原新道に取り付く

現在の気温は16℃と低いようだが湿度が高く少しジメ〜とした感触で今日の天気が想像出来そうだ

08:17 - 08:22 前方には他のパーティも歩かれているが、我々はカメラ休憩を随時挟みながら辿る事になるのでいつも通り定位置の最後尾をノンビリ歩く事になる
丸木階段やゴーロの急坂に目先を変えられるので疲れを感じる前に八ツ見ベンチに到着するが、一面のガスで昨年のようには扇沢のバスターミナルを望むことが出来ず、高度を実感することが困難のようだ
08:47 暫くは代わり映えしない中腹道を捲くルート歩きが続くが、少し雲が切れて青空が顔を覗かせガスの合間から岩小屋沢岳の稜線がチラチラ望めると、「この調子だと、稜線では青空が期待できるかも・・・」と気持ちは徐々に“晴れ”を確信しかけていると見覚えのある松の木が見え、半壊状態のケルンに到着する

ケルンには扇沢 1.7q⇔4.5q 種池と書かれた標識が取り付けられているので、種池への1/4程を辿った事が判る

08:50 しかし確信も束の間、再び薄暗い雨雲が上空を覆い始めると、気持ちを「降ってくるまでに稜線に出られればいいかな」に切り替える事になる
09:39 心持ち勾配が緩くなり、10段程の丸木の階段が現れるとまた雲の切れ間に青空が顔を出すので、再び気分は晴れモードに切り替わる
緩やかな捲き道を50分程で一枚岩に到着すると気温はさらに低くなって現在13℃を示している

下山中のパーティに出合って挨拶を交わすと、「鹿島槍は晴れていたので、間もなく晴れますよ」との嬉しい言葉で気持ちは完全に晴れに決まる

10:08 空模様に一喜一憂しながら足を運び上げていると道脇にはエゾマツが目につき始め、足下には大小様々の岩石が露出して少し歩きにくくなってくる
この辺りが通称石畳と呼ばれるところで間もなく石畳と書かれた標識板が右手に姿を現す
10:15 やがて露岩帯も終わると平坦で歩きやすい土道が暫く続くようになると、右手から水平道の標識の見送りを受ける

※この時点で気温は14℃とやや上昇したことを示している

10:29 平坦な道をさらに15分で、少し紅くなりかけたナナカマドややや黄色くなりかけたダケカンバの風景を楽しみながらノンビリ辿ると右脇にやや大きめの平たい石が並んで迎えてくれると、右横の小枝に架けられた石ベンチの標識をやり過ごす
10:44 少し傾斜が急に感じ出すと小さな木組みの階段を乗り越え、やがて右横にガレ場通過注意事項と書かれた標識板が現れるので今までの散策気分を追いやって慎重モードに切り替えて足を進める
10:45 道幅は一段と狭まり、左下は急にガレ落ちているので足下に注意しながら慎重に通過すると正面には丸木で組んだ橋が現れ、右手の岩にはガラ場と書かれた標識が付けられているので、足下に気を付けながらガスに囲まれた道を辿る事になる
10:49 続いて右上からの落石で崩落した跡に付け直されたか細いルートを、新たな落石に気を付けながら通過すると
11:14 10分近くで木の枠に石が敷かれた階段が現れる
相変わらずのガスで視界は20m程しか利きませんが、ほんの一登りで縦走路に建てられた種池山荘の出迎えを受けて、取り付きから3時間40分程かけて稜線に登り着いたことになる
11:15 - 12:15 階段を上りきって、昨年と同じペースで種池山荘(2465.8m)に到着したところで少し早い昼食休憩とするが、細かい霧雨が気になるので山荘の自炊室をお借りして、先着の登山者とご一緒に昼食タイムを楽しむ
13:12 食後は、相変わらず重い雲に覆われて雨足も少し強くなってきたので雨具とスパッツを装着して山荘から西に延びる従走路に足を進める
少し色づきかけたナナカマドの真っ赤な実に見送られて、軽くアップダウンを繰り返しながらガスの中を進む事になるが棒小屋乗越まで来るとさらに雨粒は大きくなって来たようで、雨具に当たる音が少し耳障りになってくる

2532m独標付近でフラミンゴのような淡いピンク色の野草に出迎えられ、確実に秋が深まっていることを実感するが、期待していた空模様とはほど遠い状況に意気込みも消沈する

13:44 いよいよ今日の最高地点となる岩小屋沢岳への取り付きが始まり、急な濡れた岩場も現れるので滑らないよう足下を確認しながら少しずつ高度を稼ぐ事になる
ガスもさらに濃くなって来たようで、デジカメのレンズにも細かい水滴が付着するので乾いた布でぬぐいながら素早くシャッターを切る必要も出てきた
13:51 - 13:55 ガスに烟って山頂を見ることが出来ないが、少し視界が拡がって来たようで50m程前方にボンヤリと山頂の道標(?)が見え出すと2分程で岩小屋沢岳(2630.3m)山頂を踏む事になる
山頂には三等三角点(点名:西岳 標高:2630.32m)が打たれているのでソッと足を乗せてみる

山頂の気温は9℃だが殆ど寒さは感じない

13:56 山頂も霧雨が舞っているが、ガスは少しずつ薄くなって視界も50m程に拡がってきたようだ
すぐ近くで野鳥の鳴き声が聞こえるのでデジカメを向けて思いっきりズームアップしてシャッターを切ってみると案外ブレもなく写すことができたようだが何という鳥なのか判らないまま鞍部に向かう
14:32 鞍部から一旦2623m独標を越えて緩やかに下ると今日の宿泊地である新越山荘の建つ新越乗越(2462.0m)に到着するが、第一日目は予想に反して晴れることなく終わった

※新越山荘はこの夜で今年の営業を終了すると言うことで夕食にはオーナーのご好意で宿泊客にビールを奮発して戴く幸運に恵まれて  「カンパ〜〜イ」


05:27
《第2日目》
夜半近くまで降り続いた雨も止み、窓からうっすらと明ける景色には白いガスは勿論昨日の雨は嘘だったのでは・・・と思わせるほど静かな雰囲気で、遙か遠くの山並みがボンヤリと見える
昨晩は今年の“最後の晩餐”を兼ねて楽しい一時を過ごしたお陰で目覚めは爽快
朝食を済ませて早速デジカメを携えて小屋横の小高い場所へ移動すると、ご来光を待ちわびるように静かな雲海が足元に拡がっている

稜線に沿って南方向にはこの後伝う予定の鳴沢岳〜針ノ木岳の山並みがくっきりと姿を現し、西側には黒部峡谷を挟んで立山・剱の連なりと北に突き上げる白馬岳が素晴らしい山容を誇らしげに見せてくれる

05:39 待つこと10分、やがて東に拡がる雲海を掻き分けるようにオレンジ色の太陽が顔を出してくる
途端に今までの静寂を破るように周囲の空気がざわめき出し、東の雲海に頭をつきだして噴煙をあげている浅間山を望むことが出来る
05:36 南西方向にはこれから辿る鳴沢岳がモルゲンロードに染まってオイデオイデと手招きしているように感じる
さらに後方には鳴沢岳から蓮華岳までの縦走尾根が大きく拡がって、すぐにでも歩き出したい衝動が湧いてくる
06:11 いよいよ快晴の下で第2日目のスタート!
下草が濡れているのでスパッツを付け終わると、手元の温度計が8℃を示しているのを確かめてまずは最初の目的地鳴沢岳目指して足を進める
06:08 少しずつ勾配をあげながら小さな支尾根を捲くと正面には今回の最高峰、針ノ木岳が左に蓮華岳と右にスバリ岳を従えてどっしりした姿を見せている
06:22 少しずつ太陽が高くなるにつれて、陽差しも強くなってきて気温も一気に12℃に跳ね上がる
周囲の景色がハイ松一色に変わってくると、やや急な支尾根を捲き上がる事になってハイ松越しに剱岳の峻険な岩稜が目に入り出す
やがて小さな岩尾根が迎えてくれるので暫く景色を楽しむことを控えて岩場の登りに専念する
06:29 振り返ると昨日越えた岩小屋沢岳も上機嫌で見送ってくれているようで、目の前には鳴沢岳が、そして右手には立山から剱岳、雲海を巡らせて更に右方向には白馬岳〜鹿島槍ヶ岳の拡がりが岩小屋沢岳に寄り添うように見えだす
06:40 頭上に拡がる抜けるような青空は、湿気の少ない爽やかな冷気で包み込んでくれるので殆ど汗をかくこともなさそうで、さらに岩尾根を登り続けると針ノ木峠の後方に前穂高岳の尖峰と奥穂高岳が顔を覗かせる
素晴らしい眺望に暫しカメラ休憩を兼ねて北西側に拡がる180度の展望を楽しむ
06:44 後方からは岩小屋沢岳とその右横に爺ヶ岳も少し顔を覗かせ、暫く感動に浸った後はさらに岩尾根を登る
06:49 視界に入る山容も一歩進むたびに変化する
針ノ木峠越しに見えていた奥穂高岳は針ノ木岳の陰に隠れ、変わって赤岩岳が前穂高岳の左に姿を現すと
06:50 後方北側には白馬岳から鹿島槍ヶ岳に続く山並みも姿を現し、朝の陽光を浴びてシルエットのように浮き上がって見える
06:52 何処までも蒼く澄み切った秋空を見上げながら辿る岩尾根も次第に鳴沢岳山頂に近づくが、足下には相変わらず累々とした岩が続いているので絶景にばかり気を取られることは出来ない
景色を眺めるときには足下のスペースをシッカリ確保して立ち止まるので、“10歩登っては立ち止まる”を繰り返すので当然のことながらピッチはガクンと落ちる
06:57 それでも5分程で山頂部に到達して、鳴沢岳山頂からの素晴らしい感動に期待しながら最後の岩を乗り越える
07:00 小広い山頂に登り着くと今までハッキリと見ることが出来なかった立山が黒部峡谷を挟んで向かい側に堂々とした姿を見せてくれる
07:02 - 07:11 すぐ目の前に山頂の道標が見えてくると二日目最初のピーク鳴沢岳(2641.0m)に予定より5分早く立つことになる
山頂からの展望は更に拡がり360度の展望は欲しいままだが、残念なことにエメラルドグリーンの水を湛えている筈の黒部湖はまだ姿を見せてくれないが、コース右手(西方向)に拡がる立山〜剱岳の素晴らしい山並みにまず絶句!
更に右手(北方向)には白馬岳〜鹿島槍ヶ岳の山並みが拡がり、更に白馬岳〜爺ヶ岳、そして手前には昨日通った岩小屋沢岳が顔を覗かせている
稜線伝いに南に目をやるとこれから辿る赤沢岳〜針ノ木岳の連なりが待ってくれるが
さらに針ノ木岳の左に横たわる蓮華岳の東尾根後方にはうっすらと日本一の富士山も頭を覗かせている
07:13 山頂からは正面に立山を眺めながら西方向に緩やかに下るが、ズームアップしてみると立山・雄山の直下に建つ一の越山荘も望むことが出来る
07:20 やがてコースは左に曲がるので、次の目的地である赤沢岳を見ながらいくつかのアップダウンを辿ることになるが、その先にはコースの最高峰、針ノ木岳とスバリ岳の鋭い岩稜が待ち構えている
08:05 ルートはいくつかのピークを越えたりピークの黒部側を捲いたりしながらハイ松帯の中を赤沢岳へと伸びてゆく
08:14 山頂部に近づくと扇沢側を捲くように伝うので、鞍部の向こう側に荒っぽい岩稜を見せつけるスバリ岳がすぐそこに見える
08:15 - 08:24 予定通り鳴沢岳を出て1時間で赤沢岳(2677.8m)に着くと、気温は12℃だが明るい太陽に暖められて寒さを全く感じることはない

ここにも三等三角点(点名:牛小屋沢 標高:2677.84m)が打たれているので記念にソッと踏んで山頂を後にする

08:16 振り返ると鹿島槍ヶ岳の手前に大きな雲の帯が拡がりだして、少し早いようだが「午後には雲が拡がるでしょう」と言っていた天気予報が頭をよぎる
08:19 ここで初めて立山連峰との間に横たわる黒部湖が姿を見せてくれるが、期待していたエメラルドグリーンでもコバルトブルーでもなく少し緑がかったグレーなので変な気分にさせられる
前方の針ノ木雪渓からもガスが湧き上がって来るのが少し早いようだが、今は小石でザレた尾根筋をスバリ岳との鞍部に向かって下る事に集中する事とする
08:27 鞍部まで下り着くと目の前に鋭い岩稜のスバリ岳が聳える
目を転じると右下には少し濁った黒部湖が横たわり、背後からは大らかな山容の薬師岳が静かにダム湖を見下ろしている
08:41 黒部側の岩肌に付けられた緩やかな岩道を南に辿り、再び針ノ木峠が見渡せる鞍部に出る
現在の気温は22℃と上昇してきたが、体感的には殆ど気温が上昇したことを感じないまま鞍部から針ノ木雪渓から湧き上がるガスが西から吹く風に押し戻されて扇沢側に流れてゆく
08:51 目の前には鋭い岩稜のスバリ岳が壁のように聳えているが、その前に前衛にあたる2494mと2569mの独標を乗り越える必要があるのでまずは目の前に立ちはだかるガスに烟った岩峰を目指す
08:57 いくつかのアップダウンを繰り返して2494m独標に登り着くとガスの向こうに荒々しい岩肌を剥き出しにしたスバリ岳が威嚇するように見下ろしている
09:02 一つやり過ごして次の小ピークを登り返す事になるので、岩尾根のアップダウンを楽しみながら一つずつ小さなピークを越えると
09:10 一旦ヤセた鞍部に降り立ち、左(扇沢)側の切れ落ちた絶壁を慎重に黒部側寄りを通り抜ける
09:18 やがて鞍部から小さな岩場を越えて馬ノ背状の砂礫地に着いて振り返ると、鋭い岩肌を見せつけるように赤沢岳が見下ろしている
スバリ岳との間にはもう一つ2569m独標への急なジグザグの登りが待ちかまえている
09:39 岩塊で出来たピークを数度のアップダウンでやり過ごすと遂にスバリ岳の全容が目の前に姿を現す
09:47 相変わらず扇沢側はガスに覆われているが、眼前のスバリ岳は覆い被さるように威圧的で峻険な岩稜をハッキリ見せてくれる
最初はややザレた岩尾根から取り付き、徐々に壁のようにそびえ立つスバリ岳の懐に入って行く事になり急なガレ場を通り過ぎると、足下からずり落ちそうなザレ場は勾配がますます厳しい表情に変わる
10:05 岩肌にしがみつくように付けられたつづら折れの急な岩場を振り向くと、先ほど通ってきた2569m独標の刺々しい岩峰も見送ってくれる
10:16 - 10:23 更に勾配は急になるが、ルートは岩肌を巧みに縫いながら一気に高度を上げて荒々しい岩が突きだしたスバリ岳(2752.0m)の狭い山頂に登り着く
少しカメラ休憩が多すぎた所為か、予定より10分遅れとなったようだ
ただ今の気温は16℃
辿ってきた道を振り返ると「よくぞあんな所から」と思う程垂直な壁にしがみつくような細い道が見下ろせる
10:24 いよいよ今回の最高峰である針ノ木岳目指して一旦ヤセ尾根を下り始めるが、後方から頭を覗かせている白馬岳と旭岳や鹿島槍ヶ岳がガスのカーテン越しに印象的な姿で見送ってくれる
10:32 小さく登り返すと小スバリのピークに着くが、後方には先程のスバリ岳からの急なジグザグ下りと山頂の黄色い道標が一際目を引く

小スバリから5分少々急な岩肌を下ると岩礫の針ノ木岳との鞍部にあたるマヤクボのコルに着く
この後はいよいよコースの核心部となる最後のピーク・針ノ木岳への登りが待ちかまえている

10:43 ガスに覆われた扇沢側を横目に見やって、青空に包まれた山頂への急登が始まる
10:58 手前に見える小さなコブを捲いて、小石の敷き詰められた急な岩ガレ道を踏み外さないよう充分気を付けて高度を上げてゆく
11:00 やがて山頂直下の肩に登り着くと眼下には黒部湖が明るい陽差しを受けて静かに横たわり、正面には立山連峰(鷲岳、獅子岳、鬼岳、龍王岳、浄土山、雄山、富士ノ折立)が大らかな山容を見せ、剱岳や先ほど歩いたスバリ岳〜小スバリのパノラマも広がり
11:01 鋭く突き上げていたスバリ岳と小スバリが意外な程優しい表情で見送って呉れる
11:15 - 11:55 遂にコースの最高峰を踏むが、意外な程平坦な針ノ木岳(2820.6m)山頂は気温24℃と絶好のコンディションなので、予定通りここで昼食を摂ることにするが上空は一面の青空だが扇沢側の谷筋に大きく拡がっているガスが若干気には掛かる

食後は南〜南西に見事な鋭鋒を突き上げているアルプス銀座の連なりを堪能する

山頂には三等三角点(点名:野口 標高:2820.60m)が打たれているのでこのコース3座目となる三角点をソッと踏んだ後は、黒部湖の対岸にドッシリとした山容で横たわる立山・剱と先程辿ってきたスバリ岳の鋭い岩峰を心ゆくまで楽しんだ後は
12:00 山頂からの眺望を充分堪能して次のポイント、針ノ木峠目指してハイ松に覆われた尾根を下り始める

鳴沢岳への途中からここまで、ずっと黒部渓谷を挟んで見守り続けてくれた剱・立山ともやっとお別れの時が来たようだ

12:05 右下に見える西尾根には少し色づいたダケカンバが目立ち始め、もう少しで色鮮やかな黄葉が全山を覆い尽くして初冠雪の便りも届くのでは・・・
12:23 正面にピラミッド形に見える蓮華岳を見上げながら急な露岩帯をひたすら下り
12:34 支尾根を右に回り込むと突然目の下に針ノ木小屋が見えてきて
12:38 少し急な道をなおも下るとキャンプ地を右手に見やって針ノ木峠に降り立つ
12:39 - 12:45 針ノ木峠(2536.0m)への到着は予定より10分遅れだが、とりあえず雪渓への下りを前に少し足を休める
12:57 峠からの下りは赤茶色の急な砂地をスリップに注意しながらジグザグに谷筋まで下る事になる
12:59 谷筋まで下り着くと荒れたゴーロ帯になっているので足下に注意しながら谷芯をユックリ下ってゆくと、途中で45〜50gくらいの大きいザックを担いだ単独行の登山者とすれ違う
今夜の宿は針ノ木小屋ということだろう
13:12 急な露岩帯も現れるのでペースを落として少しずつ高度を下げる事とする
荒れたルートだが最低限の整備は行き届いているようで、シッカリしたハシゴも取り付けられているので心強い
13:25 峠から35分で冷たい水の流れ落ちるレンゲ沢の水場に着く
水温は判らないが、手を10秒も浸けていられない程冷たい水なので少し口に含んでみるが上流に山小屋があるので飲む気にはなれない
13:45 さらに20分程石をばらまいたような歩きづらい谷筋を伝うと、雪渓 通行不可←とかかれた標識が現れる
下流からは雪渓の冷たい空気が体を撫でて峠の方向に上がって行くのが湧き上がるガスの原因だったようだが、ここでの気温は11℃とまだまだ肌寒さを覚える程だ
13:45 標識に従って谷筋から左岸沿いの秋道を辿ることになると、標識の通りそこここに崩壊した雪渓の残骸が散見されるのでやはり夏道を通ることは出来ない事を実感する
13:48 秋道は大きく左へ迂回してマヤクボ沢の左岸に沿って下るが、谷芯からはどんどん離れてゆくようだ
14:03 ノドの辺りでは左岸の岸壁を大きく捲き上がって回り込みクサリの固定された岩場を再び左岸沿いの道まで下る事になり、夏道と比べて相当な遠回りを強いられることになる
14:22 相変わらず歩きにくいゴーロ帯から右岸の滑りやすい急な斜面に急造された心細い道を辿って何度目かの沢筋に降り立つ
所々に残る雪渓跡も上からでは見ることが出来ないが、地表側が解けてアーチ状になっているので当然歩くことは不可能だが時間が許せば少し戯れてみたい心境だ
14:42 谷筋の勾配もだいぶ緩やかになってくると灌木やササなどが目に付き出すが、累々と沢を埋め尽くす岩屑や流木に注意しながら歩くことに変わりはないので予想外に足への負担が掛かる

などと考えていると突然左手に金属のプレートが付けられた岩が現れて大沢小屋まで20分と教えられる

※プレートには針ノ木小屋2.30←現在地→0.20大沢小屋と書かれている

14:55 更に捲き道を辿るが突然目の前の斜面が崩落している場所に出くわすと、ここにも急造のルートが左への急坂を登って崩落部を回り込み、もう一度急造の階段を伝って元の捲き道に降りる事になる
14:56 崩落箇所の迂回もあったが峠から2時間程で少し足元も安定してくるので少々の脇見は出来そうかなと思っていると、早速対岸を伝い落ちる(恐らく名前のない?)長い斜瀑が目にとまり思わずカメラを向ける
15:16 やがて向かい側に大沢が見えだすとジグザグを下り、右手に針ノ木峠開発の先駆者と言われる百瀬慎太郎さんのレリーフが付けられた大沢小屋に到着するが、入り口が閉じられているので立ち寄ることは出来ない

※帰宅後ネットで確かめると、今年の大沢小屋は9月15日で営業終了と案内されている

15:47 小屋からは整備された針ノ木自然遊歩道を辿り、すぐ美しい苔に覆われた小さな枝沢を横切ってさらに涸れた赤沢と鳴沢を横切ると
16:07 見事なブナ林で森林浴を楽しんで大沢小屋から50分程で駐車場を兼ねた広場がある針ノ木岳登山口に飛び出す
16:09 遊歩道を振り返るとこんな感じです
16:10 広場の横をかすめるように続く道を辿ると針ノ木隧道(関電トンネル)の扇沢側入り口でバス道に合流する
16:32 ここからルートはバス道と何度か交差しながら樹林の中を下る事になるが、長いガレ沢下りで膝へのダメージが相当大きいようなので同行メンバーの提案で舗装されたバス道を歩くことにする
16:36 やがてトロリーバスの発着場前にある扇沢ゲートを通り抜ける
16:37 すぐ右手に、本来ならばここへ出てくるはずの針ノ木岳登山道入り口を見送ると
16:38 すぐ左手に一般バスの駐車場が現れる

※この時期でも案外多くの観光客が黒部湖を訪れているようで、ここへの途中で5〜6台のトロリーバスが登って行くのに出合った事でも判る

16:51 あとはノンビリ車道を歩き、無事ゴールの扇沢ロッジに到着するが、予想外に時間がかかったためここでの立ち寄り入浴を断念して毎年お世話になるペンション 樹里家へ直行して入浴後の反省会で今回のアルプス遠征は無事終わった
ページの先頭へ