柏原新道 〜 爺ヶ岳・鹿島槍ヶ岳(2889.1m) 〜 赤岩尾根
コース概念図 高 コース断面図
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2004年09月24〜25日 (金〜土曜日)曇り一時晴れ/晴れ メンバー:4名
歩行距離 24.0q/歩行時間 13時間43分 (休憩時間 4時間14分) 所要時間 17時間57分
《レポート画像》
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到着 - 出発 《ルートポイントのあらまし》

07:11
《第1日目》
夜半に降った雨も今は止んでいるが舗装された道はまだ濡れている
前日、信濃大町駅からタクシーで“扇沢ロッジ”まで移動しているので、今回は扇沢ロッジからどんよりした曇り空を見上げながらのスタートとなる
07:15 道の両側に続く木々の緑はみずみずしく目に映り、降雨の不安を少しの間忘れさせてくれるが、見上げる空には勿論青空を探し出すことは出来ないし目標の山並みも厚いガスに覆われて見ることが出来ない
07:17 歩き出して5分少々、大きく右に回り込んだところでバス道に合流して右手方向に足を進める
07:23 やがて扇沢の流れに架かる扇沢橋を大町方面に戻るように東へ向かうと
07:24 橋を渡りきったところで左への分岐が現れるが、ここが今回のルートとなる柏原新道への登り口なので車道と別れて左へ折れ
5m幅の整備のよく行き届いた広い道の左に建てられた道標爺ヶ岳 4:30 種池山荘 3:30が大凡の所要時間を教えてくれるので、登山計画書を書いた後爺ヶ岳登山口の標識板に見送られて扇沢の流れを遡るように左岸を緩やかに登りはじめる
08:09 コースが流れと直角になって尾根への取り付きに進むと途端に急勾配の階段が出迎えてくれる
08:17 - 08:25 急勾配でグングン高度を稼ぐが、湿度が高いため汗が噴き出してくる

急坂の尾根に取り付いて40分程で少し平坦な場所に辿り着くと八ツ見ベンチが迎えてくれるので初めての休憩で呼吸を整える

※天気が良ければ八ヶ岳が望めるところから名付けられたとの事だが、自身は一度も八ヶ岳を望むことが出来ていないので是非見てみたかったのだが・・・

08:26 ベンチ横の木の間を通して遙か下には扇沢バスターミナルが眺められるが、GPSナビで確認すると標高1600m付近まで登ったことが判る
08:31 ここから先も急な登りが続くが、視界を覆っていたガスが少しずつ晴れてきて薄日が差すようになると一瞬左上に岩小屋沢岳が姿を現して急坂登りの辛さを和らげてくれる
08:51 - 09:00 ベンチを出てから25分、相変わらずの急坂を登り続けるとほとんどの積み石が崩れ落ちたようなケルンが、遠慮がちに道の左肩に現れるのでここで2回目の休憩を挟みます
09:24 ケルンを過ぎると心もち勾配も緩やかになるが、吹き出る汗は相変わらずで給水を頻繁に行いながら標高1900m地点を通過したようだ
09:33 - 09:42 やがて少し平坦で展望の開けた場所に着くので、3度目の休憩を入れて汗を鎮める
09:43 標高1950m付近で稜線を見上げると今日の昼食ポイント種池山荘が遠望出来る
まだガスに覆われてはいるがガスの切れ間からは青空が覗いているので、稜線に出る頃にはガスが晴れている事を期待しながら急な山道を伝う
09:45 少しずつ角度が下がって見えてくる稜線を楽しみながら標高2000mを過ぎると一枚岩に到着するが、周囲を見回してもそれらしき岩は見あたない

割れるか落ちるかして今は無くなってしまったのだろうか?

10:11 - 10:17 山肌に沿って大きく左へカーブするところで標高2100mを越え、階段が付けられた石畳に到着するので周囲に他のパーティが見あたらないことを確かめてここで4回目の休憩を摂る
10:30 さらに高度を上げて2200m地点まで来ると水平道と書かれた標識が目に着くと、暫く平坦な道になるので呼吸を整えながら平坦な道を辿る事になるが高度を稼ぐことにはならないのが残念だ
10:33 再び緩やかな登り坂になるとすぐ道端の右に規則正しく並べられた大きな石が現れる
道脇の小枝には石ベンチと書かれた案内札が下げられているが座る気持ちにはならないのでここはやり過ごす
10:36 この辺りまで登ってくると少しずつ紅葉が目に付くようになり、赤や黄に色づいた景観を楽しみながら残り1時間程の行程を相変わらずノンビリと伝い登る
10:44 やがて2300mに近づくとガラ場が迎えてくれるので頭上と足下に注意しながら足早に通過する
10:47 ガラ場を過ぎると道は大きく崩落した斜面を鋭角的に左へ折れる
10:59 右手の尾根を捲いたところから午前中最後の急坂が始まる
2400m地点を越えると更に急な石畳状の階段道が待ちかまえているのでここで最後の休憩を採っているパーティーを横目で見やって稜線を目指すと
11:08 樹林が途切れると景観はグッと開けて種池山荘が目の前で迎えてくれる
11:15 ここまで来ると急ぐ必要もないので更にピッチを落として景観を楽しむ事にする

10人程の登山者が寛いでおられる小屋の前から西方向を望むと剱御前・別山・真砂岳・富士の折立・立山・雄山の豪華な顔ぶれが姿を見せる

11:16 すぐ後には靴のトラブルに遭遇して遅れていたヒゲさんも、あと一息で山荘に到着といったところだ
11:17 - 12:37 少し風が強く、肌寒さを感じるので昼食には絶景のオカズを諦めて山荘の自炊コーナーをお借りする
山荘の裏手からは、明日登る予定の鹿島槍ヶ岳が堂々とした山容を見せてくれる
12:40 午後は爺ヶ岳の南尾根に拡がる赤・黄・緑のまるでペルシャ絨毯を思わせるような豪華な彩りを眺めながら、小屋の前の緩やかな山道から南峰に向かってスタートする
12:47 樹木も背の低い灌木がメインになってくるので、これから登る爺ヶ岳南峰も良好に視界に納めることが出来そうで既に数人のパーティーが前を歩いている姿も目に入る
12:48 ハイマツ帯に入ると今夜の宿となる冷池山荘が鹿島槍ヶ岳との鞍部にしがみつくような感じで見えてくる
12:49 この付近から見る爺ヶ岳は緩やかな道が山頂まで続いて見えるので、お花畑の中に続くコースをノンビリ辿る事にして
12:51 稜線上の小高い地点から振り向くと先程立ち寄った種池山荘の赤い屋根が周囲の深い緑色と調和のとれた佇まいを見せてくれる
13:10 まだ少しガスの残る稜線を進むと、あれほどなだらかに見えていた爺ヶ岳も鋭角的な角を持つ瓦礫が敷き詰められて勾配も徐々に増してくるので予想外に手強い登りになってくる
13:27 爺ヶ岳の南峰直下からは立山連峰を背景に岩小屋沢岳・鳴沢岳・赤沢岳・スバリ岳・針ノ木岳と続く稜線が、雲の向こうに衝立のように連なって見える
13:32 - 13:50 種池山荘を後にして50分程で爺ヶ岳南峰を踏むことになる
山頂一帯は河原のように瓦礫が散らばっているので足下に注意しながら移動するが、ここから見る鹿島槍ヶ岳はドッシリとした風格で形の良い双耳峰を見せてくれるので明日訪れるのが楽しみだ
14:02 一通り眺望を楽しんだ後は一旦コルまで下って、中央峰への登り返しに取り付くが
14:09 縦走路は肩の辺りを捲いているのでピークへは右への急坂に分岐して岩肌に付けられたジグザグ道に取り付くとすぐ山頂を踏むことになる

爺ヶ岳・中央峰(2,670m)には三等三角点(点名:祖父岳 標高:2669.8m)が埋められているので、記念に三角点を踏んでから縦走路に戻る

14:16 山頂を少し下ったところでハイマツの中から派手な鳴き声をあげて一羽の鳥がすぐ近くの岩に舞い降りたので、初めて雷鳥が飛べることと何とも“らしくない鳴き声”であることを知り得たことは今回の山歩きで最大の収穫だった
14:25 瓦礫の散らばるコース途中、真っ赤に色づいた小さなナナカマドに思わず目を引きつけられる
14:58 爺ヶ岳・北峰直下のコースからは、眼下に雲海に覆われた黒部峡谷と遠景には剱岳・剱御前が大らかな姿を見せてくれる
14:41 また進行方向にはドッシリした鹿島槍ヶ岳とその稜線上の鞍部にある冷乗越、そしてその間に建つ小さな冷池山荘の赤い屋根が大らかな景観に溶け込んでいる
15:13 ここからは結構急峻な下りが続き、しかもザレ道なので歩幅を狭めて滑らないように注意しながら下ること30分程でやがて冷乗越に到着する

ここには明日下る予定赤岩尾根への分岐があるが、今は直進して今夜の宿に足を進める事にする

15:29 更に急坂を下り続けるが、気になっていた雨がポツリポツリと降り出してきたので少しピッチをあげて一旦下った鞍部からシラビソに覆われた樹林帯を登り返し、今日のゴール冷池山荘に到着する

山荘に落ち着くと明日の天気がどうしても気になるが、同宿の皆さんも夕食の会話では一様にその話題で持ちきりのようだ


06:45
《第2日目》
天気予報通り、昨晩は大雨と雷鳴で熟睡出来ないままの一夜が明けてしまった

4時半の目覚ましに促されて窓の外を見ると雨は止んだようだが、ドシャブリを覚悟していたので最悪のパターンはどうやら免れたようだ!(^^)!
朝食をしっかり腹に詰め込んだ後、荷物を山荘にデボして鹿島槍ヶ岳に向かってスタートを切る
眼下に広がる雲海の上空には青空が顔を覗かせているので今日は絶景に巡り会えるかも・・・

07:36 山荘の北側に続く細い道を緩やかに登ってゆくと、今では一面の草紅葉に変わってしまったお花畑を通って布引山との鞍部からヤセ尾根のハイマツ帯を通り抜けると、徐々に布引山への稜線に取り付くがガスが一面を覆っているので眺望を楽しむ事が出来ないまま、やがて2600m付近の痩せた尾根道から急峻な登りに差し掛かる
07:58 - 08:03 急な瓦礫の坂を上り詰めると、山荘からここまで1時間少々の行程で布引山(2683m)山頂に着くのでガスが晴れる事を期待して5分程様子を窺ってみるが、晴れそうにないと判断して鹿島槍ヶ岳を目指す事にする
08:15 一旦緩やかな坂を登るが、2680m付近からは急峻な瓦礫のコースを辿ることになる
08:28 さらに2750m付近からは45度近く感じられるザレた急坂をジグザグに登ることになるが、こんなに近くまで来ても見上げる山頂部はガスに捲かれてボンヤリとしか見ることが出来ない
08:45 山荘を出て2時間、急峻なザレ道を上り詰めた所には幾組かのパーティーが腰を下ろして休憩中の鹿島槍ヶ岳南峰(2889.1m)に登り着いたが、相変わらずガスが取り巻いていて期待していた五竜岳や白馬三山などの眺望を味わうことは残念ながら出来そうにないが、ここには二等三角点(点名:鹿島入 標高:2889.1m)が埋められているのでここでもそっと踏んで見る

驚いたことに北峰との吊り尾根からの細いガレ道を一人の女性が松葉杖を突きながら上がってこられ、お尋ねすると単独行でキレット小屋からやってこられたとか・・・荷物が40gのザックであることでも更に驚かされるが救助隊のメンバーで今はリハビリ中との事

08:46 - 09:15 今のところ眺望は期待できないのでメンバーの記念撮影を済ませた後は休憩を兼ねてガスが晴れるのを待津事にする

頭上には時折青空が顔を覗かせるが、30分程待ってみても水平方向のガスは次々にすそ野からわき上がって来るので今回は諦めて下山の準備に取りかかる

09:40 ここからは往路を辿って「冷池山荘」まで事になるが、戻る途中布引山との稜線から右下に見えるコヤウラ沢一帯の草紅葉が雲の切れ間から射す陽光で金色に輝いて見えると「ヨシ!」と晴れを期待してみるが、それも30秒程で再びガスに覆われてしまう
09:51 布引山の山頂直下を捲きながら振り返ってみるが、やはりガスの切れ間を見ることは出来ないので諦めてザックの置いてある冷池山荘までとりあえず戻って、荷物の詰め替えや飲料水を確保した後、下山場所へのタクシー配車手配など済ませて山荘を後にする
11:20 - 11:24 山荘で荷物の詰め替えや飲料水を確保した後、下山場所へのタクシー配車手配など済ませて山荘を出発する

15分程かけて昨日通った冷乗越(赤岩尾根分岐)まで登り返して、いよいよここから急な下りに入る事になるので軽く休憩を摂る

ここからの赤岩尾根コースは尾根に出るまでの上部に悪場があるので要注意との情報(山荘を出るときに教えて戴きました)をメンバーにも伝えて気持ちを引き締める
11:31 戴いた情報の通り、まず左側が崩れ落ちたガレ場のトラバースから下山が始まる
11:34 尾根道の下りは急峻で至るところで梯子階段が現れ、雨で丸木が濡れているので滑落に注意しながら一歩ずつ確実に足を運びおろす
11:35 道端にはダケカンバの黄やカエデの赤が見事なコントラストで目を楽しませてくれるが、ヤセ尾根や急階段が連続するので足下への注意は怠る事が出来ない
11:42 足下が滑りやすいので、可能な場合には梯子を使わずに横の斜面を伝い降りる事を徹底する
11:43 繰り返し現れる梯子も手摺り代わりにして横の斜面を下る
12:12 所々に現れるヤセ尾根でもコース自体はしっかり付けられているので迷う心配はない

時々立ち止まっては谷筋の紅葉を楽しむ余裕も出てきたようだ

12:17 息を抜く暇もなく梯子階段の付けられた岩場が現れるので、滑らないよう慎重に足を下ろす
12:24 - 12:52 ダイナミックな下りが続く尾根道も高千穂平に着くとなだらかな尾根歩きに変わり、時間的にも丁度頃合いと判断して適当な場所を探して昼食タイムとする

ここは標高2049mと記されているので赤岩尾根分岐(2432m)から400m程下ったことになる

案内書などにはここからの鹿島槍ヶ岳はダイナミックな展望を満喫する事ができると書かれているが、残念ながら相変わらずのガスに包まれて全く見ることは出来ない

12:58 左側が鋭く落ち込んだ岩尾根や次々と現れる梯子階段、高千穂平を過ぎると油断の出来ない急坂下りが再び続く
12:59 そろそろ膝が笑い出す頃、平らな自然石で作られた階段も現れるが浮き石に充分注意してユックリ足を進める
13:09 急な下りが連続して現れるので疲労している足には堪えるが、単調な山歩きと比べれば遙かに面白い山歩きが味わえるので後暫くは足に頑張って貰いながら、相変わらず続く急な下りに足を運ぶ
13:30 - 13:37 手元の案内書ではそろそろ通称「公園」と呼ばれる地点に着くはずなのだが・・・・

結局地点を特定できないまま通り過ぎたようで少し平坦な場所を見つけて一旦休憩を挟む

14:16 - 14:21 突然このコースで初めてのクサリ場が現れる

足下の岩は3m程の高さだが急傾斜で濡れているので念のためクサリの助けを借りて岩場を伝い下る

14:42 クサリ場から20分程で「赤岩尾根」を下りきって大冷沢(おおつめたざわ)の右岸近くに降り着くと、ここで久々に道標が現れ←登山口へ(15分)と教えてくれるので案内通り一旦上流(左)方向に進む
14:47 緩く下りながら上流方向に進むと5分程で北俣本谷と堰堤が見えてくる
14:55 やがて10分程で西俣出合と書かれた道標に辿り着くが、厳密な意味での西俣出合は大冷沢との交点にある
14:57 更に右岸を進むと堰堤の下を潜るトンネルがあるので、潜って対岸(左岸)に渡る
15:05 - 15:24 左岸には林道が通っているのでここからはダラダラした車道歩きになる
最後の休憩を兼ねて簡単な着替えやザックカバーなどを取り外す
15:28 林道を少し下流に向かったところで沢の右谷(西沢)から大冷沢に水が流れ落ちていて、ここが厳密な意味での西俣出合と言うことになる
15:38 ここからは1時間程かけてゴールの大谷原(おおたんばら)まで歩く事になるが、一般車両は通行できないので安心してなだらかな道を下る
16:07 西俣出合を歩き出して40分で、右手から取水口の見送りを受ける
16:21 更に10分程で正面に車止めのゲートが見える
16:24 ゲートを右側から通り過ごせば道は緩く右にカーブして大冷沢に架かる大冷橋を渡る
16:25 橋を渡った地点には予約して置いたタクシーが既に待ってくれているので、ザックを降ろしてタクシーで今夜の宿がある神城まで移動する
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